Silver lining

ハンググライダーのフライトログ

 
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クラス5世界選手権 / クラス1ヨーロッパ選手権

マケドニアで開催中のクラス5世界選のライブトラッキングで毎夜夜更かししている方も多いと思います。日本チームは国別メダルは確実な状況ですが、残り2日も予報では雲底2500m以上の好条件となりそうなので気を抜かずに飛びきってくれることを期待しています。個人は Tim が逃げ切りそうですね。自分も飛びたかったなあ。もうちょっと近ければなあ。

併催のヨーロッパ選手権も個人、国別表彰台争いが激しくなっています。国別では1位のイタリアはずば抜けているけど、2位-5位のハンガリー、チェコ、スイス、イギリスの順位がタスクごとに入れ替わっています。ただゴールを揃えるだけでは順位を上げられないハイレベルの戦いです。一応イギリスを応援していますが、Grant Crossingham 以外に強い得点源がいないので厳しそう。。個人では Luke Nicol と Dave Matthews が普段も私と同じクラブで飛んでる仲間なので頑張って欲しいです。
それにしても Grant は本当に上手いな。イギリスで私が絶対にかなわないと感じるパイロットNo.2(1位は Steve Cook)。

タスク7を終えてChristian Ciech がトップに出ました。最初の2本がぱっとしなかったので調子が悪いのかと見せかけて、その後4タスクでわずか失点1(1位3回&1点差の2位1回)の圧倒的な強さでごぼう抜きです。まだ2位3位との点差はないので油断は出来ないけど。2位の Alex も一発狙って来る、かなあ。Christian はまだユーロのタイトルを獲ったことがない(Alex は2回勝ってる)ので、それが強さになるかプレッシャーになるか?

そして3位に落ちたけど昨日までトップだった Peter Neuenschwander、ハングのメジャーな大会でトップ争いに出てきたのは今回が初めてなので、名前を忘れてました。2011年のパラのPWC Superfinal チャンピオン。もうこれだけで凄い。確かハングはその頃に初めて、2014年にはもうハングのスイスチャンピオン。去年のスイスのPWCも4位という現役2刀流です。この勢いが続けば、パラで既に実績があるだけにブラジルの世界選も優勝候補になってくるかもしれないですね。


2016.05.14 Firle: 125km アウトアンドリターン

Firle はいつもの?Devils Dyke から東に20kmくらいにある、北向きなので北北西-北北東に対応するエリア。この日の風向きはほぼ真北なので Devils Dyke よりもテイクオフがしやすい。

風はリッジが効く程度には吹いて気温減率も良いが、少し空気が湿っているので雲底はあまり上がらずどん曇りになる可能性もある、という予報。

果たして朝は灰色の空で、今日はリッジを磨く日になる雰囲気もあったが、10時半頃から雲が割れて晴れ間が出始めた。

11時過ぎからファルコン1機出たが、あれ?じわじわと下がっていってしまった(ランディングとの高度差90m)。その後パラが1機出たが斜面ベタベタに寄って+20m、これはリッジはあまり期待できそうにない。これはタイミングを狙ってサーマルで上げるしかなさそうだ。


Firle_20160514 

当日のFirle テイクオフ。飛び立ったパイロットは Justin Needham (Photo by  Scott  Dougall)


上がりそうなタイミングを待って12時テイクオフ、先に出たNicosが良いサーマルを見つけてくれたので、下に潜り込んで+2mで上がり始め、リッジを脱出出来た。

サーマル2つ3つ乗り継いで1200m、予報とは裏腹に空はどんどん開けてきている。一方テイクオフは後が続かず、上がっても3-400m?14時頃まではトリッキーな条件で、10機程ぶっ飛んだらしい。このエリアは特に高度差がないので、タイミング間違うとあっという間に終了となるので厳しい。


雲間のシンクがきつくて動きにくかったが、1時間かけてなんとかエリア脱出した(といっても5km風上に進んだだけ)。気圧配置からは西の方が良い筈なので、取り敢えず西に進む。かなり順調に進んでDevils Dyke も過ぎ、雲底も1500m程まで上がって来て条件はかなり良さそうなので、さらに西へ西へ。Arundel Gap の湿地(Firleから45km)あたりはいつもの様に渋めだけど、慎重に越えて次のリッジへと渡る。50km過ぎで良いサーマルがなかなか見つけられずに少し迷走して時間をロスしたが、1600mまで上げ直してさらに西へ。60km地点のCocking でリターンすることにする。

この時点で15時30分。ここでCompeo+のバッテリーが,Bank1は既に空でBank2も目盛あと3つまで減っているのに気づいて焦る。

あと2時間、いや1時間半あれば帰れるかも、何とかそこまで持ってくれるように祈りながら急いでリターン開始。

帰り道はかなり順調だったがDevils Dyke の裏で1500mまで上げる頃には目盛1つ。最後の20kmのグライドはいつバリオが消えるかと気が気じゃなかったが、何とか最後まで持ってくれて、125km(テイクオフ起点で120km)のアウトアンドリターンを無事閉じることができた。


この後バリオの電池を新しい物に交換したので、これで電池切れの心配はなくなる、はず。



最近高度を下げすぎて対地100mとかになることが多かったので、今日は我慢、をテーマに飛んでみた。ずっと1人だったので良くわからないが、上げ直しに時間がかかった所も低くなってはいないので、そんなに悪くはなかったように思う。でもクロスウインドでの次の雲への入り方はまだまだ改善の余地がある。風上へプッシュしすぎる癖も直さないと。


20160514.png 


トラックログ(XContest)

UK クロカンリーグ(現在3位。この辺が定位置になってるような。。)







2016.03.25 Devils Dyke

絶妙な気圧配置に恵まれたイースター初日、今年初の100km 越えアウトアンドリターン。
59km地点で折り返して3kmショート。112km。最後は海風に捕まってどうにもならなかった。
去年もこの日に100kmアウトアンドリターンをしているので、3月25日はゲンがいいのかもしれない。
行きはアゲンストで結構大変、帰りは終わりかけで雲がどんどん崩壊していく大気の下、エアスペースを縫いながら僅かに生き残っている雲に絡んで上げ直し、の繰り返しでひどい蛇行を強いられた。でも条件を最後まで使い切ったので満足。


20160325.png

20160325_landing


XContest

THIRTY YEARS

30年前の今日、1986年3月20日、板敷で初高高度フライトをした。
機体はビッグバードのアミ、ものすごく緊張していてベースバーを引きすぎて初級機なのに40km以上出してしまい、それも無線でリラックスするように言われるまで気づかなかったのは今でもよく覚えている。
その後しばらくして、ようやくまともなサブロクができるようになって初めてサーマルで丹那をトップアウトし、それから2年後くらい経って、ようやく丹那から初クロカンをした。

フライトログによると、1487 本で約 2600 時間を刻んだ。
フライト距離は初めてアトスに乗り換えた頃、2001 年から記録をつけてここまで 28500km。
我ながら大きな中断もなく良く続いたと思う。
続けることも才能、とSぴーが言ったことがあったけど、自分にもこの才能は多少は備わっていたらしい。Sぴーは飛び自体も最初から天才的だったけど。

ここまで続けて思うのは、ハングは上手くなろうと思って続ければちゃんと見返りがあるスポーツ、そして年齢に関係なくいつまでも上手くなり続けられるスポーツだということ。10年前と比べれば現在の方がたぶん体力は落ちてるけど、飛ぶことだけをみれば今の方が確実に上手くなってると言える。そして、いつまでも新しい体験や驚きがあるのもこのスポーツならではだと思う。

年齢に関係なく、と言いながら流石にここからさらに大きく上達するということはさすがに期待できないけど、せめて10年後の今日までには、地球一周を達成しているという夢を見ておこう。


Dolomiti Open 後半

Day 5
大会日程は12日までとなっているが、12日は予備日で競技は11日(Day 7)で終了らしい。
今日は雨も上がって良く晴れているが、4000m以上で風速20m以上の可能性があるということで、約100kmのタスクが組まれたもののウエイティングの後キャンセル。フリーフライトで飛んだが、下層の風はそんなに強くないものの上層のウエーブの影響があるのか、空気の挙動が不安定で次に何が来るのか予測できない。一回雲底3600mまで上がったが、やはり風が強めなので、怖い目に合う前に降りることにする。
フライト中ベースバーをしっかりと握っていたせいで手がパンパン、首もガチガチ。

Day 6
前半の条件と打って変わってブルー、サーマルトップは3000mと低めで弱めの予報。タスクは西風アゲンストに18km、リッジ?沿いに10km南下した後北東に35km行き、メインの谷を再度西に進む105km

15kmエントリーのシリンダーをどこから入るかがポイントだが、メインの谷を対岸の北側に渡ってから西にプッシュし、シリンダーの北側からエントリーする作戦を試してみる。
自分が一番に谷を渡ったと思っていたが、実はクリスチャンやアレックスなど4,5機が同じ事を考えて先行していたようだ。予定していた尾根までは割とすんなり進めたがここで思ったように上がれず最初のスタートに間に合わず。トップグループはここで私の頭の上からスタートしていたようだが全く気が付かず。
20分後のスタート前には3100mと帳尻を合わせていい感じでスタートするが、大気があまり動いている気配がない。1stパイロンの遥か下に取り付いて、渋い中えっちらおっちら時間をかけて上げ直し、何とか復活。予報通りトップ3000mの条件で海抜3000mの崖の横を飛んでゆく。怖いけど、これくらいが一番ドロミテを満喫できる高度かもしれない。カメラを付けなかったことをちょっと後悔する。
ブルーなのでそれほどスピードを上げられず、に北東の3rd ターンポイントに向かう。ターンポイントがドロミテの山塊から離れた谷の中で少しいやらしい場所で、しかも少し先を急いで途中であまり上げずに進んだので、「風下のターンポイントは高くとれ」の鉄則に反して2300mまで下がってしまい、少し焦る。幸い辺りが上昇エリアであまり風下に流すことなく2900mまで復活。もう5時近くで時間的に谷側の低めの丘が機能していると判断して、岩山には戻らず、谷沿いに真っ直ぐ進むルートを選択。アゲンストで1900mまで下げるが予定していたポイントで直ぐに上げ直すことが出来、テイクオフの山にダイレクトに戻って3100mまで目一杯上げる。ここで20分前スタートの機体にかなり追いつき追い越したはず。少し低めに出た先行グループが先で上げ直しているのを横目に見ながら最終ターンポイントをダイレクトにとってそのままファイナルグライド。少し低くてリスクもあったが最後の谷は期待通り殆ど沈まなかったので、ゴールを切ってワンターンでランディング。
リーディングポイントが低いのでトップグループとは点差がついたが、タイム的には4位相当とそんなに悪くなかった。スタートのアイデアが結果的にトップグループと同じだったので良い選択だったと自己満足。

Day 7
タスク最終日だが、小さくまとめる気配はなく、ドロミテ満喫ルートの135km。但し、テレビクルーがゴールしてくる機体を絵になる西方向で撮りたい、ということでゴールを4kmほど行き過ぎた所にターンポイントが追加された。この往復8kmが結構いやらしいかも、と思いつつスタート準備する。
気象条件は素晴らしく、雲底4200m、サーマルもスムーズ。
今日は今大会で初めて大きなガグルが一斉スタート。このガグルがなかなかカオスな感じで、あまり振り回せない機体に乗っている身としては遠慮がちに外側を大きく回る。
さて、ここまで半分観光とエリア完熟を兼ねて飛んでいた面があったので、この日はレースに集中してみようと決めていた。
スタート後は中位の高度で切って先頭を走る。1stターンポイントは4番くらいでクリア、2nd ターンポイントに向かう前の谷渡りはやはり4,5番手。少し上にアレックスとクリスチャン。この二人のサーマルの探し方は本当に独特というか、本当に広いエリアをサーチする。
2nd ターンポイントは少し後ろから高めにクリアして、そのままリターンし、高原の上で上げ直す。この時点で単独先行になるが、次のポイントで低めの高度から上げ直していると3機ほど上に被ってくる。1stターンポイント後、南回りのルートで進んできたグループのようだ。
次のサーマルで追いつき、3rdターンポイントをとって上げ切った時点で自分とフレックス2機がほぼ横一線。ダビデ・グイディーチとエリオ・カタルディ。次のサーマルも3機で上げ切った後、その次は私が(これまでに比べて)弱いサーマルを見つけるが、後の2機は止まったものの大して上げもせず走りだす。でもその先は谷全体がオーバーキャストだよ。。。
まあこの状況でサーマルを見つけてくれたら有難いのだが、案の定この2機はその後ほぼノーヒットで降りてしまった。
自分はここは弱くても上げきる事が大事とみて、4000mまで上げてからグライド開始。上げ切った頃に下の方にアレックスがやって来たので後続とのマージンも十分。問題は次にどこで上げ直すか。最後から2つ目のターンポイントを3200mでとったら、残り25km、ゴールからの対地高度2200m。少し足りない感じ。高度もあるし一つ西側の尾根を越えれば何とかなるだろう、とダイレクトのルートで進む。が期待のポイントでノーヒット。そのうちややシンク気味の大気にも捕まり、大きい谷を渡って尾根につけても吹おろし気味なのか全く上げてくれず、ゴールを2km程過ぎた所(ターンポイント2km手前)で断念し、無念のランディング。
テイクオフ前の嫌な予感が当たってしまい、最後の8kmにやられた。
30分後くらいにアレックスがトップでゴールしてきた。この日のゴール4名は皆テイクオフの山に迂回して低く戻り、渋く上げ直してというルートだった。他の選手は皆ダイレクトルートで私の後は誰もゴールランディングにも届かず、非常にトリッキーな終盤だった。
それにしても悔しい一本だった!

大会の成績はこちら
クラス1はクリスチャンがブッチギリで優勝、私は1本も勝てなかった。2位はここがお膝元のアレックス。3位も地元のエキスパート、カール・ライヒガー。
私は一応クラス5優勝、スコア的にはクラス1に混ぜると3位相当。いや、機体性能のお陰です。
女子はコリーナ1位、ついでサーシャ、磯本さん。
今回コリーナは圧倒的な浮きを見せていた。


エリアについて
ドロミテは夏に飛ぶのは条件が強すぎて非常に危険、とヨーロッパのハング界では割と広く信じられている。
今回実際に飛んで思ったのは、条件の過激さはグライフェンブルクと同じくらい。フライトで感じるプレッシャーのレベルはフランスのサンタンドレに並ぶ、かな。グライフェンブルクの方がどこに行っても谷が広い分少し安心感がある。
雲底が高くても風が弱ければサーマルは比較的安定していて、大気の挙動もそれほど不穏な気配はない。
ただし、風が18km/hも吹けばかなり荒れる可能性がある。これもグライフェンブルクやサンタンドレと同様。私は幸い遭遇していないが、北風のサンタンドレはかなり悪名高い。今回キャンセルになった日もフリーフライト中は気が抜けなかった。

テイクオフはいくつかあるようだが、今回大会のスタートとなったKronplatzはドロミテの北端に位置していて、北側にはオーストリアアルプスを望むことができる。上にはケーブルカーで登る。一回16ユーロくらい。ここは高度が高いので無風時にはテイクオフに気を使うが、サーマルは穏やか。ランディングはケーブルカーの駅の横と、10kmくらい離れたFalzesにある。どちらも広くて問題なし。
ドロミテに入ってもランディングはあるが、ほぼ100%スロープランディングになる。ランディングの場所を知らないと入っていけないような山もあるので、事前に情報を持っていた方が良い。今回の大会でダウンロードしたウエイポイントの1/3くらいはアウトランディングスポットだった。
ランディングスポットを知っていても初めてでここの山に入っていくのはかなり勇気がいる。アルプスの他のエリアなどで山岳飛行の経験があるパイロットなら多分問題無い。
Kronplatz の弱点はテイクオフが北向きのため、始まりが遅いこと。パラはTask3で入っていった谷の東向きの斜面から10時前にテイクオフして200-300km のトライアングルを飛んでいるが、Kronplatzからでは厳しそう。
もう一つのメジャーなテイクオフは Kronplatz から30kmほど南にある Canazei という所。ここは秋に穏やかに高く上がれるエリアとして人気がある。サンタンドレと似てる。
ちなみにクリスチャンもこの近くの出身らしい。世界チャンピオンを目指すならドロミテで飛ぶのが近道、かもしれない。

大会について
これまでに出た大会の中でも5本の指に入る素晴らしい大会だった。
何と言っても条件に恵まれたのが大きいが、オーガナイザーのフラビオ、タスクセッターのアレックスを始めとして運営が素晴らしく、また選手のレベルも非常に高かった。世界一のイタリアチームがメインだから当然か。。

今回初めて知ったのは、イタリアでのフライトにおいてはライブトラッキングが義務付けられている、ということ(”As disposed by the Italian National Regulations, the Live tracking System is MANDATORY”)。
安全の為なのかエアスペース監視の為なのかは分からない。
大会においてはライブトラッキングなしでフライトした場合にはそのタスクのスコアは0点になる、とお達しがあった。実際には現状100%信頼できるシステムではないので減点はなかったが、来年あたりはそういうペナルティが現実になりそう。来シーズン以降にヨーロッパ遠征を考えているフライヤーは、ライブトラッキング対策を万全に!
また、この大会では Livetrack24 のライブトラッキングのログをスコアリングに使用した。Flymaster のライブトラッキングはパラのコンペではスコアリングに使われているが、Livetrack24 の利用は私が知る限りでは初めて。初日はLivetrack24 のシステムが上手く動かなかったので全員バリオからのダウンロードだったが、その後はライブトラッキングが上手く行ったパイロットはログのダウンロード不要だった。ちなみに私は2勝2敗。スマホのアプリ(Richard Hunt Tracker)を使っていたが、1回はスタート直後にサーバーにログが送られなくなったというエラー、もう1回はログは問題なかったがターンポイントのシリンダーに入ったと認識されなかった(多分ギリギリでとったため)ためだった。
Livetrack 24 のログでスコアリングが済むようになると選手もスコアラーも随分と楽になるので、これはもっと広まってくれると皆ありがたいのではないだろうか。スマホでログをとっても、SeeYou Recorder とか GPSDump とかでG-record付きのIGCファイルが生成されれば正式にログとして認められるので、同じスマホでとったLivetrack24 のログだけがダメとされる理由はあまり無いように思う。











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