Silver lining

ハンググライダーのフライトログ

 
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アヌシー クラス5 世界選手権 (1)

まずは今回フランスのアヌシーで開催されたクラス5世界選手権への参加に際し、多くの応援を頂きありがとうございました。
前回2010年のテーゲルベルク大会は不成立だったため、今回は私にとって2004年グライフェンブルク大会以来10年ぶりの選手権となりました。結果は40人中9位と、目標としていたトップ10入りを果たす事が出来ました。
チームとしては事故もあり、自分のなかでもどう向き合っていけば良いのかうまく整理がついていない部分もありますが、大会を振り返ることはそれでも意義があるだろうと考え、ここに記録しておくことにします。

アヌシーエリア

Annecy_Massif.png

アヌシーはヨーロッパの中でも風光明媚なエリアとして非常に人気が有りますが、競技フライトの面から見ると非常にテクニカルなエリアです。昨年のプレ世界選のログとレポートをチェックした時の第一感は、事前に地形と風やリフトの特徴を知らないと戦えない、というものでした。

クラス5のフライトは大体赤いライン内、谷を挟んで北東側と南西側に2つの山塊でタスクが組まれました。
場の風が弱くソアラブルな時は、午後は大体西ー北西の風になり、ランディングのあるドゥサ(Doussard、アヌシー湖の南側)は北西風。
メインテイクオフはフォークラ(Col de la Forclaz、1250m、地図上のピンの地点)だが、南西よりの風の時は湖の西側にあるセムノス(Semnoz、1650m)というテイクオフも使う。
アルプスの前山に当たるようなエリアなのでサーマルトップは低く、主脈で3000m以上上がるような日でもアヌシー付近は通常2000mくらい(ランディングは460m)。
フライト予定エリアの中でも雲底は西の尾根ほど低く、東側、アルプス主脈に近づくほど高くなってゆく。
2箇所のテイクオフはいずれも西向きなのでスタートが遅い。長いタスクでスタックすると時間切れになるリスクあり。
アヌシー湖の南には南北に走るクリフのような尾根がいくつも走り、西面はハイウエイのようになっている。
一方テイクオフ裏の山塊は谷が複雑に入り組んでいて、風の知識がないと簡単に入っていけない。
山塊の東端の山脈は標高が高く、Aravisという山は最高2750mある。昨年のX-Alps でシャモニーから飛んできた選手がこの山脈を使って南下していった。
タスクは折り返しが多く、100-150kmとそれほど長くない。

以上の分析から、大会前の完熟はある程度重要であると思われたので、練習フライトではできるだけ多くの尾根や谷を試すことを意識しました。

6月17日

アヌシー初フライト。湖周辺のローカル。夕方からサンダーストームの予報だったので終始雲の様子を気にしながらのフライト。1時間半程飛んだ辺りで東と南の山の裏でで雨が降り始めたので終了。機体を畳み終わった頃にランディングに南からガストフロント襲来。

Max 2300m、1h43m

6月18日

天気が悪いのでノーフライト、アヌシー観光。

6月19日

前半は雲底低め、1600m程度しか上がらず。湖を渡ってから一つ西のSeminozの尾根に渡る。予想通り渋いことを確認。後半雲底が上がってMax2200m、3:25h。

6月20日

大会中も含め最もコンディションが良かった日。
イギリスチームがタスクを組んでいたので途中まで一緒に飛ぶ。Semnoz の尾根を南端の近くまで行くが、この日も渋い。一本東の尾根に入ると雲底は2400m、あまりに条件が良いので途中でタスク自主キャンセルして東の山に入る。Aravis の尾根は文字通りハイウェイ状態で、グライダー、ATOS、角ありフレックス、パラなどあらゆる種類の翼とすれ違う。最高3000m。大会で使うかもしれない谷を通って湖まで戻る。4:30h、150km。

20140620.png

6月21日

昨日よりは渋目の予報、まだ知識が足りないので東の山に入ってゆくのは厳しそう。
ドイツチームが湖を渡って南に向かったので後を追う、が速くてあっという間に離される。結局見失ってしまったので一番南東のターンポイントをチェック。アヌシーへの戻りもまだ使って無かった尾根を試してみる。特にトリッキーなパートもなく、地形から上がりそうな所は期待通り上げてくれる感じ。高度を下げすぎなければ多分大丈夫だろう。
Max2500m、5h3m、130km。

6月22日

午前中はレジストレーション、午後は全員参加のセーフティーブリーフィング、続いてオープニングセレモニー。スプログチェックでセッティングを変更した一部の選手はチェックフライト。

6月23日

公式練習日だが南風強風および夕方からストーム予報でキャンセル。東の山奥へ緊急ランディングのチェックがてらドライブ。普通に降ろせそうな所はかなり少ないので要注意。

機体について

私と太田選手はATOS-VRSで飛びました。ノーマルサイズのVRに比べて滑空性能に劣るのは事前情報でも分かっていましたが、私は自分の機体なので選択肢はなく、また自分の体重からはスモールサイズの方が適しているだろうと考えました。この時点で世界一を競うという観点からは負けているわけですが。。
実際には機体の調整に苦労しました。アヌシーに入る前に吊り位置の調整、グライドやサーマリング時のフラップのセッティングをいろいろといじりながら30時間程飛んだものの、なかなか頭でイメージするグライドが得られず、不安を残したまま大会本番を迎えることになりました。


6月24日 Day 1
タスク1


朝方までの雨で雲底が1600mと低く北西強め、また夕方にはまたサンダーストームの可能性のため、64kmのショートタスク。
湖を3回渡って最後南東の谷のパイロンをとり、最終レグは谷風アゲンスト。

Annecy_Task1.png



ウインドウオープン13:45、スタートは14:45の1回。14時頃から慌ただしそうに続々テイクオフ。
この日はまずスタートで少し低くなってしまったため上げなおしで出遅れる。
湖渡りのグライドで、やはり自分のグライダーは明らかに飛ばない。フラップを完全にオフにするとグライドが悪く、少しフラップを入れるとピッチが重くてスピードが出ない。サーマルでの上げで何とか挽回し、中位グループですべての湖渡りをこなす。飛んでる時は分からなかったが後でログを見たら塩野選手太田選手とずっとチームフライトのように飛んでいた。最終ターンポイントの前後は谷風を警戒して上げすぎてしまいタイムロス。少し後ろにいたのにちょっかりでターンポイントを取りに行った山本選手にここだけで8分差をつけられる。

602点、17位とあまり振るわない出だし。

Max 1600m、2h23m



6月25日 Day 2, cancelled


機体をセットアップしタスクが組まれたものの、北風が強くなり過ぎたためキャンセル。フリーフライトも禁止。夕方からサンダーストーム。

6月26日 Day 3, Task 2
好条件の予報の中、大会中最長タスクが組まれる。
湖周りを南北へ一往復半した後北東奥のターンポイントを2つこなし、Task 1 と同じ谷のターンポイントを回ってゴールする175km。
湿度が少し高いのか、オーバーキャスト気味の空になってしまい、タスクの難易度が上がった。

Annecy_Task2.png

機体のセッティング。
VRは尾翼がフラップと連動して角度が変わるようになっているが、イギリスチームのPaul Harvey と話していて、自分の機体とPaulの機体でそのタイミングの設定が違っていることに気がつく。自分の機体もPaul の設定に近い設定に変えてみる。その後AIR のFelix に確認してもらうが、それで良いということなので多分大丈夫。ついでにハングポイントも5ミリ前に出す。
実際飛んでみたらこれは劇的な効果があって、ピッチの重さとグライドとのバランスは格段に良くなった。ノーマルサイズのグライドには相変わらずついていけないが、スピードの問題はほぼ解決。


今日は3番手くらいで上手くスタートを切るもグライドで予定通り追い抜かれて南の2個目のターンポイントは15番くらい、この後もずっとこれくらいの順位で進む。山本選手はトップグループに食らいついて5,6番あたり。以下湖を一往復して南の第4ターンポイント手前辺りで日射がほとんどなくなり渋くなる。高い機体は上がっているが自分の高度ではかなり渋く、弱いリフトに構わざるを得ない。第4ターンポイントは山本トップでクリア、以下古坂(9分遅れ)、冨原、太田(25分)、小林、塩野(40分)。
この後はまっすぐ北上してテイクオフに戻る組と東に少し迂回して高い山脈に取り付く組に別れる。山本選手含むトップグループはテイクオフ周り。私はスタックしてテイクオフにはとても戻れず、スポット的な日射のある東の尾根に取り付いてようやく谷渡りの高度を獲得。この位置からはなし崩し的に4機の集団で山脈コース。練習日と同様、ここは取り付くことが出来さえすれば第5ターンポイントまではハイウェイ状態で進めることができ、最終ターンポイント20km手前で山本選手の下にようやく入る。この後ラストサーマルからほぼ並走状態で、互いに3秒差でゴール。
後続は苦しみながらも小林、太田、塩野の順にゴール。冨原選手は最終ターンポイントを取りに行くためのルーティングミスで痛恨の5kmショート。
トップの Christpher Friedlは一人だけ視認しにくいコンバージェンスを読み切って直線的にコースを回って2位に30分差をつけるぶっちぎりのゴール。そのコースの選択肢は私の頭には全くなかった。山岳でのフライトの難しさを改めて見せつけられた。
この日はデイリー10位、648点。総合も10位まで上がる。山本選手はデイリー9位、総合8位。

20140626.png

フライトログ。赤:Friedl、紫:山本、緑:古坂、水色:塩野
後半のルートはいろいろな選択肢があったのが分かって貰えると思います。

Max 2850m、5h12m














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Comments

まつださん、
そんなことがあるんですね。言われてみれば、降りたあとに引っかかりなどは意識して確認してないので今度見てみます。でももし引っ掛かると尾翼の動き出しが早まるのと同じ効果になるので、ピッチが重くなることはないような気がします。いや、でもそれもセッティング次第かな?
尾翼のセッティングについて
尾翼を動かすロープがフラップに引っかかってしまい、尾翼の角度が変わって、ピッチが重くなっていることはないですか。テイクオフ前にグライダーを担ぐときに、ハーネスの肩の部分がこの付近に当たり、引っかかってしまうということを、つい最近気が付きました。2年以上もVR乗っているのに、やれやれ。
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